パ・リーグのファイナルステージは、福岡市のみずほPayPayドームで行われ、第1戦はソフトバンクが日本ハムに5対2で勝ちました。

17日の第2戦は今シーズン、リリーフから先発に転向して11勝を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得したモイネロ投手が先発しました。

モイネロ投手は1回の立ち上がりから2本のツーベースヒットを打たれ、レギュラーシーズンの防御率が4.80と相性の悪い日本ハムに1点を先制されました。

打線はそのウラ、2アウト二塁から4番の山川穂高選手のタイムリーで同点に追いつくと、16日の第1戦で右足首のけがから1か月ぶりに実戦に復帰した5番の近藤健介選手のツーランホームランで3対1と逆転しました。

4対2で迎えた5回には山川選手が2試合連続の2号ソロを打ってリードを広げ、7回にも2打席連続の3号ソロを打って日本ハムを突き放しました。

モイネロ投手は3回以降はランナーを背負いながらも味方の好守備にも助けられ、6回2失点とリードを守りリリーフ陣も得点を与えませんでした。

ソフトバンクは7対2で勝ってリーグ優勝のチームに与えられる1勝のアドバンテージを含めて対戦成績を3勝0敗とし、日本シリーズ進出へ王手をかけました。

一方の日本ハムは、先発の加藤貴之投手がファーストステージから中4日でマウンドにあがりましたが2回途中4失点で降板し、打線もチャンスであと1本が出ず、追い込まれました。

第2戦に勝利し、日本シリーズ進出に王手をかけたソフトバンクの小久保監督は「1回に先制されたあと、そのウラに山川穂高選手のタイムリーですぐに同点に追いつき、逆転できたことが大きかった。クリーンアップがよくやってくれた」と振り返りました。
また16日、右足首のけがから1か月ぶりに復帰し、17日の第1打席で勝ち越しツーランを打った近藤健介選手については「けがの具合から見れば驚異的な回復だ。いてくれると助かるが、今後の野球人生もあるので慎重にいきたい。あしたも練習が終わるまでスタメンは決めません」と話しました。
その上で18日の試合に向けて「一気にいきたいと思う。先発が試合を作ることが必須条件なので、スチュワート投手に期待したい」と話していました。

1回に勝ち越しのツーランを打ったソフトバンクの近藤健介選手は「前を打つ山川穂高選手が同点タイムリーを打ったあとだったので、楽な気持ちで打席に入って打つことができた。ランナー一塁だったので長打をねらっていて、完璧な当たりだった」と振り返りました。
16日に右足首のけがから1か月ぶりに復帰したことについて「シーズン終盤に1軍にいられなかったのは悔しかったし、クライマックスシリーズに向けて復帰したいと思っていたので、帰ってこられて、足を引っ張らずに活躍できてよかった」と話した上で「あしたになってみないと状態はわからないが、出られるならば試合には出たい」と意気込みを語りました。

日本ハムの新庄監督は試合後、球団を通じて「ただただ、あすは全員で勝ちにいくだけ」とコメントしました。

日本ハムの清宮幸太郎選手は1回の先制タイムリーツーベースについて「いい形で先頭の万波選手が出塁してくれたので、最低でもランナーを進めようという気持ちだった」と振り返りました。
自身の状態については「悪くはないが、よくもなく、相手の打線を見ていたら『まだまだだな』という感じがする。もっともっと良くなるかなと思う」と話していました。
ファイナルステージで3敗となり、後がなくなって迎える18日の第3戦に向けては「ソフトバンクは横綱野球で強い野球をされているという感じがする。ここから勝ったら面白いので、4つ勝つことしか考えていない」と前を向いていました。

• 注目

日本シリーズ進出へ王手をかけた第2戦の勝利の立て役者は不動の4番、山川穂高選手でした。

今シーズン、FA＝フリーエージェントで西武から加入した山川選手は開幕から4番を任され、移籍1年目でホームラン王と打点王の2冠に輝きました。ホームラン王のタイトルは今回で4回目の獲得で、球界屈指の強打者の山川選手ですが、その成績を支えているのが豊富な練習量です。

ことし2月に宮崎で行われた春のキャンプでは休日にも練習し、シーズン中にも熊本市で行われたナイトゲームのあと、福岡市の本拠地、みずほPayPayドームに戻って、午前0時ごろからバッティング練習を行うなど、山川選手の練習量はチーム内でも際だっています。

今月4日にレギュラーシーズンを終えたあとは、クライマックスシリーズのファイナルステージまでは10日余り試合が空きましたが山川選手はここでも動きました。

1軍の全体練習が本拠地で行われる中、若手中心の教育リーグ「フェニックスリーグ」が行われている宮崎市に向かったのです。

今シーズン、チームで唯一、全試合に出場した山川選手があえて宮崎に向かったのはソフトバンクの一員としてスタートを切った地で初心を思い出すとともに「もう1回、宮崎で体を作り直してクライマックスシリーズまでベストな状態で持って行けるようにする」というねらいからでした。

宮崎で調整した3日間はいずれもチーム一番乗りで球場入りし、連日、朝からみずから組んだランニングのメニューをこなしたあと、正午すぎから行われる試合にも出場し、強い日ざしの中、汗を流していました。

そうして始まったファイナルステージで山川選手は第1戦では勝ち越しのタイムリーツーベースに加えてダメ押しのソロホームランを打つと、第2戦でも第1打席に同点タイムリー、第3打席と第4打席では2打席連続のソロホームランを打ち、4番としての役割を十分に果たしてチームの2連勝に貢献しました。

報道陣に好調の要因を問われると「宮崎に行って太陽の下で汗をたくさんかいたことで、体がふわふわせず、いい張りがある。バットを速く振ることができる状態にもってこれた」と話し、宮崎で過ごした日々の成果であることを強調しました。

豊富な練習量に裏打ちされた球界屈指の強打者、山川選手がチームをけん引し、ソフトバンクは4年ぶりの日本一奪回を目指します。

▽ソフトバンクはスチュワート投手
▽日本ハムは今シーズン10勝の山崎投手です。