大統領選の行方と賭けマーケット

10-18 作者松本 大

アメリカ大統領選まであと20日を切りました。さてどちらが勝つやら。選挙の行方を知る方法として、比較的信頼されているのが世論調査以上に、アメリカでは「賭け」のマーケットです。どちらが勝つかの賭けマーケットが開かれているので、そこでのオッズから選挙の行方を占う訳です。実際のお金が掛かっているので、個人的な主義主張よりも客観的になりやすく、かつ世論調査による支持率ではほんのちょっとしか差がなくても、掛けのマーケットでは「片方が僅差でも勝ちそうだ」となると一気にそっちにオッズが傾きますから、とても分かりやすいです。候補によるディベートの生放送中にも、番組がこの賭けマーケットの動きを参照して、今の発言でこう傾いた、などの分析をするくらいです。

さてこの賭けマーケットですが、大手のPolymarketでは、しばらくトランプとハリスと完全に拮抗していたのですが、2週間ほど前から一気にトランプが優勢になってきて、現時点ではトランプの勝率61%に対してハリスのそれは39%となり、その差が巨大になってきています。これは驚くべきことです。ただよく見ると、賭け金がトランプに約600MMドル、ハリスに約400MMドル掛けられているようでその差は200MMドル、即ち約300億円です。勝率の差が付き始めた時は、この差は数十億円でした。

ここでふと思ったことがあります。賭けマーケットは、客観的な指標のようで、逆にそれを逆手に取って、例えばトランプに勝たせようと思い大きな額をトランプに掛け、それによって勝率が変わり始めたと世間に思い込ませ、それが更にトランプへの賭け金を呼び込み、いずれウソから出たマコトで、実際に世の中がトランプ優勢と思い込み、更にはトランプに優位になっていく、というように意図的に賭けている人が居るのではないかと。reflexivityですね。reflexivityとは、例えばあのジョージ・ソロスが提唱した「反射性理論」が有名です。ソロスの反射性理論では、市場参加者の認識や期待が市場価格に影響を与え、その結果が再び市場参加者の認識や行動にフィードバックされるというものです。この結果、認識と現実が相互に作用し、自己強化的なサイクルが形成されるというものです。

う~ん。イーロン・マスクとかだったらやるかも知れない。あくまでも勝手な憶測ですが。なべてマーケットとは常に奥深いと共に、ロジックもあり、興味深いものです。私はマーケットの人間なので、様々なマーケットを通して、大統領選も観察していきたいと思います。

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