欧州最新事情と反省の念

09-05 作者大槻 奈那

今、出張で久々に欧州に来ています。いろいろな新しいことを目にしましたが、最大の発見は、自分がいかに米国に偏った情報収集をしているか、ということでした。

例えば、街中の物価です。米国のべらぼうに高い物価(大戸屋のしまほっけ定食が5000円、一風堂のラーメンが3000円強など)は非常に有名になりました。一部では、それが世界の潮流のように理解されている面もありますが、実は、欧州の飲食店等の価格は(日本よりは高いですが)、米国よりは2,3割安く、ラーメンはかなりの具沢山でも2300円くらいで食べられました。

また、現地の不動産を実査する機会があり、住宅の賃料について聞いてみました。すると、スペインでは、家主が毎年物価に連動して賃料を引き上げられるとのこと。それではさすがに賃借人の生活が脅かされかねないので、今年から一定の上限が設けられる予定です。一方イタリアでは、そうした制限はなく、4年の基本賃貸契約中、比較的自由に賃料を変更できるため、昨年は、多くの都市で二桁の上昇を記録しました。消費者物価指数の重要な要素であるにも関わらず、こうした欧州の賃料制度の動きは殆ど知りませんでした。

欧州のGDPは、中国同様、世界の20%弱を占め、米国との差はわずか5ポイント程度です。その割に、我々アナリストもメディアも、規模に見合った情報を伝えていない気がします。経済の不透明感が高まり分散投資が重要度を増す中では、欧州にも米国同様の注意を払い発信していくべきでは、と反省を込めて思った欧州滞在でした。

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