【日本株】AIサーバー需要増が追い風になる日本企業

09-05 作者和島 英樹

AIサーバーに搭載されているエヌビディア[NVDA]製GPU

先にAI半導体世界トップのエヌビディア[NVDA]が5~7月期の決算を発表。売上や利益に関心が向かっているが、大量のデータを扱うデータセンター(DC)向けなどの需要は着実に伸びている。特にサーバー向けの拡大が顕著という。

サーバーとは簡単に言うと、「利用者のリクエストに対応したデータを提供するコンピュータ」のこと。

今ではAI半導体と呼ばれるGPU(画像処理装置)は、もともとゲームなどのグラフィック向けに使われ、まさにGPU——画像を処理するための装置だった。これが現在では膨大な量のデータを演算することに活用されている。頭脳の役割を果たすCPU(中央演算処理装置)をアシストし、ディープラーニング(深層学習・機械学習)などのアルゴリズム(計算手順)を効率化することができるという。

機械学習などで、与えられたデータやパターンから新たなデータを生成するのが生成AI(人工知能)だ。AIサーバーは消費電力が爆発的に増える。報道によれば、世界のデータセンター市場のうち、AIサーバー関連は現状で約1割を占めるという。このAIサーバーにエヌビディア製GPUが搭載されている。

「ブラックウェル」投入で増す光ファイバーの重要性

エヌビディアは年内にも次世代のAI半導体「ブラックウェル」を投入予定。生成AIの速度が現行の30倍と爆速化し、電力効率は25倍になるともいわれている。AIサーバーの性能はさらに飛躍的に伸びることが予想される。

光ファイバーはデータセンターに数多く使われており、需要が増加傾向にあるが、生成AI開発が進む中で、膨大なデータを処理するために光ファイバーの重要性が増している。光ファイバーで世界大手のコーニング[GLW]は先の決算発表で、AI半導体であるGPUには従来のデータセンターの10倍超の光ファイバーが必要になるという見通しを語った。

大手調査機関によれば、エヌビディアの先端AI半導体「ブラックウェル」を使ったデータセンターでは、さらに従来の18倍の光ファイバーが必要になると試算している。

AIデータセンターを支える関連銘柄をピックアップ

フジクラ(5803)

電線大手の一角。光ファイバーケーブルにも強い。データセンターでのデータ需要の増大で、光ファイバーケーブルの重要性が高まっている。従来の銅線ケーブルに比べて大幅に高速でデータを伝送することができる。データセンターでは一本のケーブルの中にたくさんの光ファイバーを詰め込む「多芯化」と光ファイバーの口径を細くする「細径化」が進んでいる。AIに必要となる膨大な演算処理を大容量かつ低遅延で実行するためには、AIサーバーのGPU同士を接続する際に光配線ボリュームを増大することが必要だ。フジクラではこれに対応した技術で世界のリード役となっている。

【図表1】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月5日時点)

村田製作所(6981)

積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界首位。MLCCは小型で静電容量範囲が広く、ノイズ除去や電源電圧の平滑化などに使われる。AIサーバーでは消費電力の急増を抑えるために、MLCCの需要が増加している。

【図表2】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月5日時点)

TDK(6762)

MLCC大手の一角。TDKの斎藤社長は6月の外資系通信社とのインタビューで、AIの進化が業績に「非常に大きなインパクトがある」と語っている。AI半導体はGPUなどの能動部品と、MLCCやインダクタ(コイル)などの受動部品がセットで、TDKが手掛けるインダクタやセンサーなど受動部品が伸びるとの見方を示した。

【図表3】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月5日時点)

太陽誘電(6976)

太陽誘電(6976)もMLCCの世界大手。AIサーバーではMLCCの搭載数が2倍になるとみて、マレーシアに新工場を建てるなど生産体制を整えるとの報道も。

【図表4】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月5日時点)

武蔵精密工業(7220)

ホンダ系でシャフトなどを扱う。今年8月に傘下の武蔵エナジーソリューションズが電子機器受託サービス世界大手のフレックス[FLEX]社との間で、AIデータセンターにおけるエネルギー課題解決に向け提携すると発表。武蔵のキャパシタ(HSC)技術とフレックス社のエネルギー貯蔵システムの連携で、AIデータセンター向け蓄電システムで協業する。フレックス社では2025年に生産を開始する予定。

【図表5】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月5日時点)
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