銀行株が「株」になった日

07-26 作者大槻 奈那

最近銀行株が話題です。銀行といえば金利敏感株の筆頭です。今週の日銀金融政策決定会合では政策の修正はないとの見方が大勢ですが、年内にはイールドカーブ・コントロールの修正もありうべし、という見方が広がる中では当然でしょう。私も、最近の銀行株には見どころが多いと感じています。

銀行株が初めて上場したのは、東京株式取引所がスタートした1878年でした。みずほの前身の第一銀行が最初で、その後も、現在の大手行の前身が相次いで上場を果たしました。
しかし、1970年代後半からの株式投資ブーム下でも、銀行株は額面の500円からほとんど動きませんでした。当時は株取引をしている人々も、「銀行株は株じゃない」などと全く別扱いをしていました。

ところが、1984年初頭、銀行株が突然動き始めました。理由は、金融市場の自由化や外国人の投資等で、株価は年初の2か月余りで2倍以上になりました。同時に各行の収益により株価に格差がつき始めたわけですが、“管理相場”に慣れ切った銀行関係者の中には、「ウチの株はもっと高くていいはずなのに!」と証券会社に意見する(?)人もいた、などという記事も残っています。

銀行株が“株”になってから来年で40年。節目を迎える中、銀行株は再び特別扱いから締め出されつつあります。東京証券取引所による、事実上のPBR(株価純資産倍率)1倍要請です。銀行には資本規制という特殊事情もあり、1倍達成はなかなかハードルが高いと思います。それでも、銀行だからといって、株主の要求するリターンを大きく下回る状態を放置していいことにはならないでしょう。東証からの異例の要請ということもあり、銀行のPBR向上策の説明にも、過去見られなかったような力がこもっています。
金利環境も変わりつつある中、銀行株は新たな局面に向かうかもしれない、と期待を込めて思っています。

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