AIボイス

06-28 作者大橋 ひろこ

先般、OpenAIが最新モデルGPT-4oを発表しましたが、女優スカーレット・ヨハンソンはAIの「声」が「自分の声と似すぎている」と抗議したことが話題。事前にGPT-4oの声の使用をオファーされていたのですが、これを辞退していたということで、ヨハンソンの怒りは大きかったと思われます。抗議を受けてOpenAIは問題の声をGPT-4oから削除しています。自分の声が先端技術に採用されるなんて素晴らしい栄誉ではないか、という気もしますが、ハリウッドではAI利用が俳優や脚本家の職を奪うとしてストライキが打たれるなどAIが職人にとって脅威となってきていることから、AIとの共存はなかなか難しいと思われます。

実はヨハンソンは2013年の映画「her/世界でひとつの彼女」でAIアシスタント「サマンサ」の声を演じているんですね。これがわずか11年後に実現してしまった。そのテクノロジーの進化のスピードには驚くばかりですが、果たして人類はAIをコントロールできるのでしょうか。AIとの会話は、誰かの人生を救うかもしれないが、誰かの人生を破滅へと導いてしまうかもしれない。あるいはAIが悪意を持って人間をコントロールすることはないか、と思うとぞっとします。それがもし自分の声だとしたら…。

すでにAIは村上春樹風に、とか太宰治風にといった指示で、まるで本人が書いたかのような小説を書くことができると耳にします。職がAIに奪われる、というだけでなく、AIが紡ぎ出したストーリーによっては実在の作者への嫌悪感に繋がりかねません。実在する誰かを模したAIの在り方には配慮、保護が必要ではないかと思います。

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