米国で暗号資産規制の動きが再び、大統領選でも立場が分かれる

06-28 作者松嶋 真倫

米国で証券取引委員会(以下、SEC)による暗号資産関連企業の取り締まりが再び強化されている。2024年4月にはSECが分散型取引所最大手のユニスワップに対して「ウェルズ通知」と呼ばれる証券法違反を警告する文書を送付し、同年5月には投資アプリとして絶大な人気を誇るロビンフッドに対しても同様の措置を講じた。

「ウェルズ通知」は当局による法的措置を確定するものではないが、これまでにもコインベースやバイナンス、クラーケンなど多くの暗号資産関連企業が訴訟問題に発展している。そのため今回もSECと暗号資産関連企業の主張が対立し、双方の争いによって暗号資産相場が冷え込むことが懸念されている。

このように米国民主党政権下のSECが暗号資産への強硬姿勢を貫く中、2024年の米国大統領選挙で共和党候補者であるドナルド・トランプ氏が最近の選挙集会で暗号資産を支持する発言を行い、話題となっている。前回の任期時は暗号資産に批判的な立場であった同氏がここにきて主張を覆した背景には、暗号資産界隈の有権者の支持を取り込みたいという狙いが見える。

今回の米国大統領選挙でジョーカー的な候補者として挙げられている無所属のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏も暗号資産を支持する立場にある。2024年5月29日から30日にかけて米国で開催されるコインデスク主催の暗号資産関連イベント「Consensus 2024」への登壇も予定されており、そこでの講演内容にも注目が集まる。

米国大統領選挙で議論されるテーマは多岐にわたるが、今回その一つとして暗号資産が加わったことは業界にとってポジティブである。今後、トランプ氏はFTXグループ破綻の問題や暗号資産規制の不明確さなどを民主党政権に対して追及する可能性がある。一方のバイデン大統領は反対を主張し、ロバート氏も独自の議論を展開するだろう。

米国大統領選挙の中で暗号資産に関するどのような議論が交わされるにしても、候補者間の口論によって暗号資産が注目を集めれば、米国における暗号資産の見方や規制方針が見直されるきっかけになりうるだろう。

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