ビットコイン年初来高値で、上値はどこまで期待できるのか

10-25 作者大槻 奈那

ビットコインが昨日年初来高値を更新し一時35,000ドルの大台に乗せましたね。年初から約2倍になっていますから、ナスダックの24%上昇、金の8%上昇などを大きく凌駕しています。背景は、マネックス・松嶋さんの「ビットコイン(BTC)最新動向と相場予想」でも何度か取り上げられている通り、ビットコイン現物ETFが米国で初めて承認されるのでは、という期待です。

振り返れば、先物ETFが初めて米国で承認された2021年10月には、ビットコインは69,000ドルまで上昇しました。これが、現物ETFの承認となれば市場への影響はさらに大きくなるでしょう。先物ETFとは異なり、現物ETFはビットコインを実際に市場から購入します。ということは、現物ETFにお金が集まれば、ビットコインの現物買いに繋がるということです。また、米国の現物ETF承認は、課題とされている暗号資産の保管等のインフラが整備されつつあることの象徴ともなるため、機関投資家等が一層投資しやすくなると思われます。

その場合、ビットコインの価格はどの程度まで上昇しうるのでしょうか。先物ETF承認の時は、トレンド値から30%ほど上ブレました。ここで用いているトレンド値とは、ビットコインが過去10年間強く相関しているナスダック指数、金、米実質金利等を用いて推計しているもので、過去10年のビットコイン価格の動きを8割以上説明できます。

では、現在の価格はどうかというと、このトレンド値から13%程度高くなっています(10月25日午前8時時点)。仮に現物ETFが承認された場合、2021年と同様の上振れがあるとすると、残り20%余のアップサイドで、4万ドル付近まで上昇する可能性はあると試算されます。来年2月頃に、ビットコインの供給が抑えられる半減期が到来することや、ECBによるCBDC(政府デジタル通貨)発行の思惑も後押しするでしょう。

とはいえ、先物ETF承認後と同様、現物ETF承認後には、再びトレンド線に戻ってしまう可能性もあります。長期的に更なる上値を目指すためには何が必要でしょうか。既にビットコインが日常で使われるという世界観が相当後退した今、有意義な投資先となることが重要です。これには、伝統的な資産とは異なる動きをすることでヘッジ手段として機能することなどが求められると思います。前述の通り、長期で見るとビットコインはいくつかの資産との相関が高いのですが、足元では独自の動きもしていますので、このような条件を満たす可能性はあるでしょう。

そうなると、他の資産を売って暗号資産を買うような動きもあるでしょうし、逆に、新たなヘッジ手段ができることで、他の資産の中で買われやすくなるものも出てくるかもしれません。世界の暗号資産の時価総額は188兆円と、相応の存在感となっています。たとえ暗号資産自体への投資に関心がない方々でも、他の資産への影響も含めて、注目しておく価値はあるでしょう。

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